物理学の全体像

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物理学の魅力

Most important part of doing physics is the knowledge of approximation.

Lev Davidovich Landau

物理学の魅力は, 物事の本質を見抜くことにあります.

現象を説明するための適切なモデルを作る過程で, 現象に本質的に寄与しているファクターを抽出し, 捨象する能力は自然科学のみならず, 生きていく上で多くの場面で役立つでしょう.

物理学の勉強法

大学では予備校などとは勉強の仕方を全く変えないといけないということに、早く気づいてください。(中略)大学では、たとえば十年間もひとつの問題を考え続けるようなことができるようになるための基礎を作っているのです。ですから、大学では、きちんとした本をきちんと読みこなせるようになってください。そうでないと、大学レベルの物理や数学は習得できません。

清水明「講義についての疑問・要望への返事」

これまでやってきたやり方を捨てる勇気を持ちましょう.

一冊の本にこだわる必要もありません. 繰り返し何度も同じ本を読むのではなく, 分からないところがあったら別の本で同じところの説明を調べるなどの「理解する努力」が求められます.

大学以降の勉強では, 「ここまで出来るようになればよい」という明確なゴールはありません. (もちろん院試に合格するという意味ではゴールはありますが…)

物理学は、自然科学として現実的自然を扱うが、同時に数理科学としての論理的な体系を有している。それゆえ、何からも導かれない出発点としての原理と、約束事としての定義と、それから導き出される法則、および自然的事実としての物の性質を区別した上で、その関係を理解しなければならない。

山本義隆「新・物理学入門」本書の構成と利用法
    • 原理と定義を区別すること
    • 因果関係を定量的に表現し、そこからどのように現象を読み解くのか

世に出回っている参考書の多くは天下りの公式やテクニックに終始しており、物理学の本質的な考え方が身に付くものは皆無です.

式を目で追うのではなく、必ず自分の手を動かす。

ある程度わかったと思った段階で白紙に議論してみる。

そういった全体の中でどのような位置付けなのかを意識した体系的な学びが大学では求められます.

大学で習う物理学のもっとも大事な点は、論理構造全体です。(中略)つまり、様々な式や事項が矛盾なく・美しく繋がってできる論理的な構造体こそが物理学であり、それを教えることが講義の目的です。各々の式や事項は、構造体の部品にすぎません。教科書や講義では、ページ数や時間数の制限から、この論理構造を教えるための必要最小限のことだけ述べていますから、全てが大事な点です。 

清水明「講義についての疑問・要望への返事」

科学者はあたまが悪くなくてはいけない

いわゆる頭のいい人は、言わば足の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道ばたあるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを見落とす恐れがある。頭の悪い人足ののろい人がずっとあとからおくれて来てわけもなくそのだいじな宝物を拾って行く場合がある。

寺田寅彦「科学者とあたま」

上を見ればキリがありません.

受験生であれば, 都内の進学校では高校2年生までに受験の全範囲が終了していて, 1年間対策できるのに地方の学校は終わるのもギリギリだから志望校に滑り込めるかどうかの戦いを余儀なくされるでしょう.

大学生になったらなったで, 1年生なのに場の量子論をやっている人が身近にいたりして, 研究者になるのはこういう人なんだろうなと絶望してしまうこともあるかもしれません.

しかし、そんな人たちにとって寺田寅彦の文章は大切なことを思い出させてくれます.

ゆっくり学ぶことは悪いことではありません.

腐らず一緒に頑張っていきましょう.

ギリシャ文字の扱い

αΑalphaアルファ角度,係数,温度係数,減衰率
βΒbetaベータ角度,係数,位相定数,帰還率
γΓgammaガンマ角度,係数電圧反射係数
δΔdeltaデルタ微小変化,密度,損失角微小変化
εΕepsilonイプシロン誘電率
ζΖzetaゼータ(ツェータ)減衰定数
ηΗetaイータ効率
θΘthetaシータ角度,位相,熱抵抗
ιΙiotaイオタ
κΚkappaカッパ磁化率
λΛlambdaラムダ波長透磁率
μΜmuミュー透磁率
νΝnuニュー周波数
ξΞxiクサイ(グザイ)
οΟomicronオミクロン
πΠpaiパイ円周率
ρΡrhoロー抵抗率,体積電荷密度
σΣsigmaシグマ導電率,表面電荷密度
τΤtauタウ時定数,時間,トルク
υΥupsilonウプシロン
φΦphiファイ磁束,位相,角度電位
χχchiカイ
ψΨpsiプサイ位相,角度,電束
ωΩomegaオメガ角速度,角周波数電気抵抗,立体角
引用につき改変の必要あり

微分表現の扱い

物理における微分の表現形式には、ニュートン形式とライプニッツ形式の2通りが存在する。

ニュートン形式

ニュートン形式の記法は時間微分に用いるのが慣習になっている。

この記法は後述するライプニッツ形式の微分表式では煩雑になってしまうようなときに用いると便利である。

解析力学では \(\it x\) の時間微分 \(\ddot{x}\) で微分することがあるが、これを使えば微分演算子の分母にわざわざ \(\frac{dx}{dt}\) と書かなくてもよい。

ライプニッツ形式

ライプニッツ形式の記法は空間微分に用いるのが慣習になっている。

この記法は従属変数だけでなく、独立変数も明示できるのがメリットである。

ベクトル表現の扱い

矢印ありと矢印なしについて

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